ロンドンインスピレーション – あまり見ないサウスバンク

ロンドンの街は新しい発見とインスピレーションにあふれています。編み物をデザインしている時の、気晴らしには最高です。今回のロンドンインスピレーションはロンドンの南東側、サウスバンクという場所です。バンクというのは銀行のバンクではなく川などの土手、堤防です。
サウスバンクはロンドンで一番好きな場所です。この川沿いの道にはグローブシアター、ロンドンアイ、マーケット等たくさん見る所があるので昼間は大勢の観光客であふれています。夜は、たくさんのカップルがいて、とてもロマンチックです。今日は、私が撮った、普段はあまり見ないサウスバンクをご紹介します。

このテムズ川の南東の川沿いの道を歩くと色々なミュージシャンに出会います。この人(下)はロックンロールなのですが、自分でメロディを作って、その時の気分で、ただただ何時間も歌っています。この日はとても熱くてテムズ川が満ち潮になっても、楽器をしまわずに腰に水が届くまで歌っていました。


この若いチェロ弾きもレギュラーで、いつもはカルテットで弾いています。でも、一人で早くこの場所に着いたら、まずは独奏です。この日は渋いバッハでした。


テムズ川の水位は、満ち潮・引き潮によってびっくりするほど変わります。水があふれるのではないかと思う時も有るし、時には川辺を歩くことも出来ます。潮が引くのは午後の早い時間くらい。川辺には、テイトモダンとグローブシアターから降りることが出来ます。


一件なんにもない様な河岸ですけれども、沢山の灰色の石の中に、よく見るときれいな白い石が混ざっていたりして、素朴な発見がたくさんです。


 グローブシアターも大好きです。でも一番好きなのは鉄のゲート。これはダリルネルソン(Darryl Nelson)という方がデザインしたそうです。ここでは、時間を忘れて、ゲートの可愛い動物を探しちゃいます。シェークスピアの誕生月(4月)にはソネットウォークというのがあって、ツアーの最後には白と赤のバラをこのゲートいっぱいに飾ったり、置いたりしてとてもきれいです。


テイトモダンも最高です。建物の中の芸術も好きですが、外に出ると目の前はミレニウムブリッジがあり、その向こうにはセントポール寺院が有ります。先日、夫とロイ・リキテンスタインの絵を見に行った帰りに、テイトモダンの外でジャンボシャボン玉を飛ばしていて、とてもきれいでした。


みなさんもロンドンに来られた時は、見所たくさんのサウスバンクに、是非どうぞ。

上から編むラグラン袖の増やし目の計算方法

今日は上から編むラグラン袖の増し目の計算方法をご紹介します。私は連立方程式を使います。難しそうですが、実は簡単!


テマリ(下)は上から編むシームレスのラグラントップです。上から一気に袖も合わせて編むので、縫い目がなくて便利!


まずラグラン袖の増し目の計算をするには、次の“材料”が必要です:
例:
ゲージ 14目、20段、10センチ平方
袖周りの高さ (cm)*  24cm
ラグラン袖の最初の目数  3目
ラグラン増し目が終わった時点での、脇周りのめ数(脇下の目数は含まない) 45目
*ラグランの斜めの長さではなく、まっすぐ垂直に測った時の高さです。

4ステップ:
1.    袖周りの高さをcmから段数に変える。
2.    ラグラン袖の片側に何目増やすか計算する。
3.    何段毎に目を増やすかを計算する
4.    連立方程式を計算する。

1:袖周りの高さをcmから段数に変える。
ゲージで分かる様に10センチの高さで20段編めます。
そうすると1センチで2段という事になりますね(20段÷10センチ)
24センチでは何段になるかと言うと:

24 x =48
[袖周りの高さ(cm)]
[1センチ毎の段数] [袖の段数]


2:ラグラン袖の片側に何目増やすか計算する。
ラグラン増し目が終わった時点での脇周りの目数から、ラグラン袖の最初の目数を引くと両側合計で何目増やすかが分かります。

45=42目
[最後での目数]
[最初の目数][増し目総数]

でもこの42目というのは両側の合計なので、ラグランの片側の増し目を計算するにはこの42目を2で割り、21目になります。



3:何段毎に目を増やすかを計算する
第1・2ステップで、48段で目数を21増やす事がわかりましたが、次に、何段毎に何目増やすのか計算します。

48÷21=2.29・・・
[総段数]
[片側の増目数][仮段数]


仮段数2.29は、2.29段毎に1目の増目を21回すると合計の48段になるという事です。
出来るだけ生地の表側で増目が出来る様に(要するに2段毎、もしくは4段毎)、この番号を整数に直します。
でも実際は2段ごとの増目をX回、4段ごとの増目をY回、という事になります。何となく連立方程式がみえてきましたか?
Note: もしも仮段数が2未満 (i.e. 1.xxx)になった場合は、1段ごとの増目をX回、2段ごとの増目をY回、という事になります。この時は、Xは偶数にしてください。

4: 連立方程式を計算する
上の説明で、2段ごとの増目をX回、4段ごとの増目をY回、そして合計のラグランの段数は48という事が分かりました。そして片側のラグラン増目は21です。ここから連立方程式を作ると、このようになります:

式1:     2X + 4Y = 48  (2段毎の増目をX回、4段毎がY回で合計48段)
式2:     X + Y = 21      (増目の合計が21)

式2の両辺を倍にします。2X + 2Y = 42
この式を、式1の両辺から引くと、Xが消えます。2Y=6  
これで、Y=3となりましたね。
Y=3を式1か2に入れてXを計算します。(私は式2に入れました)
X + 3 = 21
X = 18

これらの数字はどう言う意味か
X = 18 で Y = 3という事が分かりました。さて、この18と3は何を意味するのでしょうか。
ラグラン袖の始めの目数(3)からラグラン増目が終わった後の脇下の目数(45)までを48段(24cm)で編むには、増し目を2段毎に18回、そして4段毎に3回するという事です。基本的にまず段数の少ない方から編んでいきます。

上から編むラグランは、身頃の増し目を考えなくてはいけません。身頃の増し目は、袖の増し目とまた違った間隔で編まなくてはいけない場合が多いのですが、同じ計算方法を使用します。

編み物の計算には色々と例外が出てきますが、これが基本です。是非皆さんも上から編むラグランをデザインする時に使用してください。

レン(Ren):上から編むサマーセーター

私は、太めの毛糸でざっくりと冬のジャケットを編むか、ものすごい細い毛糸でレースのショールを編むのが一番好きです。なので、サマーニットは余り好みでは有りませんでした。でも、今回The Knitter58号でデザインしたRenを編んだあと考えが変わりました。

Renはスウェーデン語でピュアとか、きれいとかそういう意味だそうです。ちなみに私は全くスウェーデン語はしゃべれませんが、何となくこの言葉とても良いなーと思ってRenと名付けました(笑)。このピュアと善の様なきれい感が今回のRen のインスピレーションになったわけです。


デザインをするにあたっての今回の目標は、シンプルで美しく、温かい季節になっても暑苦しくないトップをデザインする事でした。

レース編みはとても美しくて、夏には最適なので前の首回りに逆三角にモチーフをつけました。


Ruth & Belinda 4ply merino silk – Light Kiss


Light Kiss (4ply, 50% メリノ, 50% 絹, 400m/100g カセ)

ルースアンドベリンダは、イギリスの西方デボン地方のニットカンパニーです。ルースとベリンダさんもデザインをされていて、彼女達のデザインも毛糸も両方ともサイトから購入する事が出来ます。毛糸は全て染めていない生成りの物だけ。毛糸そのものを楽しんでもらう!という感じですね。

Renは4plyの3.25ミリ(日本のサイズで3号)で、このライトキスの毛糸で編みました。 柔らかくて、そしてちょっとだけ光沢のある繊細な女性らしい毛糸でした。4plyのセーターはゲージが細かいので出来上がりもとてもきれいに出来ます。この生成りの色は、きれいな春先に着るにはぴったりです。

Ren – Construction


今の時代、みんな忙しいですよね。だから、私はデザインをする時は出来るだけシームレスの物にしています。そうすれば袖など縫い付ける時間も省けますよね。

Renはまず、首回りから編み始めます。そして上からラグラン袖を輪編みで編んでいって(同時に前のダブルアイレットも一緒に編んでいきます)、後はメリヤス編みです。このセーターは“テレビニット”に最高(笑)。レースの所が終わったら後はテレビを見ながらぼーっとメリヤス編みをひたすら。リラクゼーションニットとも言えるのでしょうか。。。

このセーターを編む時、レースの部分は出来るだけメリヤス編みの部分よりもきつめに編んでください。そうすればきれいにフィットします。トップは体にフィットする感じで作ったので、もしもオーバーサイズがいいときは、自分に合うセーターの寸法をまず測ってから、編み図のサイズと比べて一番合うサイズを編んでくださいね。もちろんゲージスワッチを編むのを忘れずに。。。

Enjoy the knitting and the sunshine!

大草原のショール:Prairie Shawl

コットンアンドクラウドの新しい“フレッシュインスピレーションニットVol.1”のコレクションの中で気に入っているのはこの大草原のショール(Prairie Shawl)です。


このショールはバッファローウール社(The Buffalo Wool Co. )のセクシーという毛糸で編みました。


私がバッファローウール社の毛糸に始めて出会ったのは、この会社がロンドンのニッティングアンドステッチングショーに始めてブースを持った時でした。アメリカのバッファローから毛糸がとれるんだ!そして軽くて温かい!


Buffalo Wool Co. Sexy:
レース糸:50% バイソン(バッファローはバイソンとも言います)ダウン: 50%絹
400+ yards / 2 oz skein
このセクシーという毛糸はバッファローウール社の新しい商品です。優しい光沢のあり、編むのがうきうきする様な毛糸です。
アメリカンバッファローの写真やビデオは英語ですが、こちらのBBCのリンクで見れます。

私は、半円のショールを編むのが好きです。何となく三角のショールよりも“連続性”continuityがあるのが気に入っています。この大草原のショールはアメリカの広大な地に住んでいるバッファローを想像してデザインしました。
毛糸がとても高級で軽くて温かいので、デザインもストーリーがあって、編んでいて楽しい物にしました。

このショールは中心から外側に向かって編んでいきます。最初の並模様は雲と空を想像してください。中間のジグザグは山脈、葉模様は草原の草。そうです、バッファローが食べる草です(笑)。

どうぞお試しください。

6つのウェディングニット

結婚式の準備ってお金もかかるし、大変ですよね。小さな編み物小物で特別なハンドメイドウエディングにするのって夢が有って良いと思います。


イギリスのSimply Knittingの106号で私の6 Little Wedding Knitsのプロジェクトを紹介させて頂きました!6個のデザインは:
* バードケージベイル
* コサージュ
* ジャムの瓶で出来る花瓶カバー
* 小さなハート
* 結婚指輪のクッション
* ビーズのポーチ自分の結婚式の時に、こういうの作れば良かった!!


使用させて頂いた毛糸はイギリスのブランドのベシーメイBessie Mayというブランドです。他の用具は Spoilt Rotten Beads から(brooch pin [#169470], silver plated hair comb 2.5in [#212189], 3 x 6mm oyster glass pearl beads [ #170837])。

Bessie Mayの毛糸はとてもきれいな編み地に編む事が出来ます。柔らかくてベビーニットにも適しています。特に4プライのSnikel Thea-bea (色Sorbet [4120]) で編んだ小さなハートの出来具合には満足。


6個のデザインをしている時心がけていた事は、簡単ですぐに編める物、そして可愛くて実用的である事、です。



結婚式以外のイベントにも使えます。例えばバードケージベイルはベイルをつけないで、他の色で編んだら可愛い大きめのコサージュになります。


花瓶カバーはパターンリピートが2目なので、どのような大きさの花瓶にも応用する事が出来ます。まず、持っている花瓶(もしくはジャムの瓶)の円周を測ります。その円周から3 cm引いてください(そうすればカバーがぴったりと瓶にフィットします)。指定されたゲージ(もしくは自分で編んだスワッチのゲージ)から目数を計算します。偶数の目数を使用してください。
例えばジャムの瓶の円周が22.5cmだとします:
22.5 – 3 = 19.5 cm
19.5 x 1.9 = 37 目 (1.9 は編み図で指定された1センチのゲージです)
37目なので、偶数の36目を使用します。



どうぞウェディングニット、お楽しみください。

ロンドンインスピーレーション:アルフィーズ、アンティークマーケット


新しいデザインを作っている時、よく私はただ町中を歩いて新しいインスピレーションを探します。ロンドンはそういった事ではとても面白い物が沢山有ってすきです。
 ロンドンのメリルボーン駅の近くにアルフィーズアンティークマーケットという巨大屋内アンティークマーケットが有ります。ボヘミアンチックで迷路の様に色んなアンティークを扱っている小さいお店や大きなお店が集まったとても面白い場所です。

このアンティークマーケットがある道はチャーチストリートというのですが、そこも昔からのマーケットストリートです。でも時代が変わったのでしょうか、ちょっと雰囲気はまあまあでした。

でもこのアルフィーズアンティークマーケットの建物に入ると世界は全くかわってアンティークに圧倒されます。始めて行った場所ですが、天気の悪いイギリスでも、屋内でじっくりと色々見れて楽しかったです。
屋上にはカフェが有って迷路の様な建物をぐるぐる見た後にはアフタヌーンティーで休憩。値段も安くてびっくりです。ちなみに無料のWiFiも有るとか。

Sea Urchin Shawl: ウニの貝殻をイメージしたショール

イギリスの編み物雑誌、Knit Today 82号にコットンアンドクラウドのショールのデザインが掲載されました!
Sea Urchinショール(日本語でウニ。でも、何となくウニショールと言うと気持ち悪いですね。。。(汗))といって、イギリスの手染め作家デビーさんの毛 糸を使って、まさしくピンク色のウニの貝殻をイメージしてデザインして編みました。毛糸は、スケインクイーン(Skein Queen)というブランドで、糸の名前はエリクシアSkein Queen のブログでも紹介してくださったのでどうぞご覧ください。


私がまだ大学を卒業したばかりの頃に、環境保護ボランティアとしてガラパゴス諸島に行っていた事があります。虫は大嫌い、船酔いはする、スペイン語ははなせない。。。なぜに南米行くのかと思いましたが、どうしても若いうちに地球の反対側を見たくて頑張って行ってきました。もう10年以上昔の事です。その時の経験と思い出は、私にとって素晴らしい財産になりました。


そのガラパゴス諸島の小さな無人島にいった時の事です。それまでの人生で見た事もない素晴らしい自然の海岸を見ました。真っ白な砂の上に大きな貝殻がゴロゴロ。。。貝殻と一緒に乾いたウニの貝殻も山の様に有りました。これぞ宝島。


2012年の年末にKnit Todayの編集長から三角形のショールをデザインしてくれないかというリクエストが有りました。シンプルな物で、高さより横幅がずっと長くて、身体に巻ける様な物がいいとの事でした。その時に丁度Skein QueenのElixirを見つけて、あの時のガラパゴスで出会った貝殻達を思い出して一気にデザイン開始!

SKEIN QUEEN ELIXIR
Skein Queenはイギリスの小さな手染めの毛糸を売る会社。手染め作家のデビーさんが、いつもきれいな色合でいろいろな種類の毛糸を染めています。
Elixir は日本の棒針の6号で編め、貝殻、イングリッシュガーデン、スイートピーを連想させる素敵な色合いの毛糸です。繊維はスーパーファインアルパカ40%、メリノ40%、そしてシルク20%で出来ています。1カセ100gで長さは230m。このショールに使った色はシェル(Shell)といいます。
シングルプライの毛糸で柔らかくて自然な光沢のある毛糸でした。彼女の、他の毛糸もとっても可愛いので是非見てください。



SEA URCHIN SHAWL


三角のショールはデザインにもよりますが、通常は左右に1目づつ、中心に2目増目をして、中心から外側に向かって編んでいきます。それによって二等辺三角形が出来るので、ブロッキングで形づける時に直角二等辺三角形を2つ合わせたものにします。でも、今回は高さよりも横が長い物を作ってくほしいというリクエストだったので、左右の増目を中心よりも多めにしました。そうする事で平たく長い三角のショールを作る事が出来ました。模様はウニの貝殻にある穴の様に、掛け目2目一度のアイレットの上下に裏編みと表編みを交互に入れてみました。


それではenjoy Sea Urchin Shawl!