上から編むラグラン袖の増やし目の計算方法

今日は上から編むラグラン袖の増し目の計算方法をご紹介します。私は連立方程式を使います。難しそうですが、実は簡単!


テマリ(下)は上から編むシームレスのラグラントップです。上から一気に袖も合わせて編むので、縫い目がなくて便利!


まずラグラン袖の増し目の計算をするには、次の“材料”が必要です:
例:
ゲージ 14目、20段、10センチ平方
袖周りの高さ (cm)*  24cm
ラグラン袖の最初の目数  3目
ラグラン増し目が終わった時点での、脇周りのめ数(脇下の目数は含まない) 45目
*ラグランの斜めの長さではなく、まっすぐ垂直に測った時の高さです。

4ステップ:
1.    袖周りの高さをcmから段数に変える。
2.    ラグラン袖の片側に何目増やすか計算する。
3.    何段毎に目を増やすかを計算する
4.    連立方程式を計算する。

1:袖周りの高さをcmから段数に変える。
ゲージで分かる様に10センチの高さで20段編めます。
そうすると1センチで2段という事になりますね(20段÷10センチ)
24センチでは何段になるかと言うと:

24 x =48
[袖周りの高さ(cm)]
[1センチ毎の段数] [袖の段数]


2:ラグラン袖の片側に何目増やすか計算する。
ラグラン増し目が終わった時点での脇周りの目数から、ラグラン袖の最初の目数を引くと両側合計で何目増やすかが分かります。

45=42目
[最後での目数]
[最初の目数][増し目総数]

でもこの42目というのは両側の合計なので、ラグランの片側の増し目を計算するにはこの42目を2で割り、21目になります。



3:何段毎に目を増やすかを計算する
第1・2ステップで、48段で目数を21増やす事がわかりましたが、次に、何段毎に何目増やすのか計算します。

48÷21=2.29・・・
[総段数]
[片側の増目数][仮段数]


仮段数2.29は、2.29段毎に1目の増目を21回すると合計の48段になるという事です。
出来るだけ生地の表側で増目が出来る様に(要するに2段毎、もしくは4段毎)、この番号を整数に直します。
でも実際は2段ごとの増目をX回、4段ごとの増目をY回、という事になります。何となく連立方程式がみえてきましたか?
Note: もしも仮段数が2未満 (i.e. 1.xxx)になった場合は、1段ごとの増目をX回、2段ごとの増目をY回、という事になります。この時は、Xは偶数にしてください。

4: 連立方程式を計算する
上の説明で、2段ごとの増目をX回、4段ごとの増目をY回、そして合計のラグランの段数は48という事が分かりました。そして片側のラグラン増目は21です。ここから連立方程式を作ると、このようになります:

式1:     2X + 4Y = 48  (2段毎の増目をX回、4段毎がY回で合計48段)
式2:     X + Y = 21      (増目の合計が21)

式2の両辺を倍にします。2X + 2Y = 42
この式を、式1の両辺から引くと、Xが消えます。2Y=6  
これで、Y=3となりましたね。
Y=3を式1か2に入れてXを計算します。(私は式2に入れました)
X + 3 = 21
X = 18

これらの数字はどう言う意味か
X = 18 で Y = 3という事が分かりました。さて、この18と3は何を意味するのでしょうか。
ラグラン袖の始めの目数(3)からラグラン増目が終わった後の脇下の目数(45)までを48段(24cm)で編むには、増し目を2段毎に18回、そして4段毎に3回するという事です。基本的にまず段数の少ない方から編んでいきます。

上から編むラグランは、身頃の増し目を考えなくてはいけません。身頃の増し目は、袖の増し目とまた違った間隔で編まなくてはいけない場合が多いのですが、同じ計算方法を使用します。

編み物の計算には色々と例外が出てきますが、これが基本です。是非皆さんも上から編むラグランをデザインする時に使用してください。